会長挨拶

1 市町村森林・林業行政の強化に向けて技術支援を
 戦後造成した人工林の多くが本格的な利用期を迎える中、新製品の開発や国産材の利用拡大等により木材需要の拡大を図るとともに国産材の安定的な供給体制を構築していくことが急務になっております。
 また、これら森林を支える基盤として市町村の森林・林業行政の強化が不可欠であり「市町村が主体となった
森林整備対策」の財源として森林環境税の創設に向けての検討が進められておりますが、これらを実現するにあたっては市町村における技術力、技術者が必要です。
 このため、平成29年度からの林野庁施策として「地域林政アドバイザー制度」が発足したところですが、これらの技術者として森林部門技術士の専門的技術の活用が求められています。是非皆さん方に置かれても市町村の要望に応じこの制度に則り専門的技術者として活躍して頂けたらと存じます。

一方、昨年は、熊本地震災害や北海道・東北等において大きな台風災害があり、山地災害の事前防止・減災対策の強化が求められております。また、海外のJICA事業において専門的な治山技術者の派遣が強く求められているという状況であります。海外事業については言葉の壁等クリアしなければならない問題がありますが、ニーズが高まっていることを踏まえ、緊急的になりますが、6月予定の研究例会(森林土木部会)で海外の治山事業の現状及び課題等について講演会を実施したいと思っています。

森林部門技術士会の皆様は技術者として、また、コンサルタントとして培われた技術を持ってこれらの課題に取り組んで頂いているわけですが、本会としては皆様のご意見を十分聞きながら皆様の専門技術を生かせる場を増やす、活用の場を増やすことに視点を置き林野庁始め都道府県等に要請する等の取り組みを行っているところです。特に昨今、このような専門的技術者の要請が高まっている機会をとらえ積極的にこれら活用要請に応えることが、技術士の認知度を高め技術士の活用増大に資することになるので、このような考えのもとに一層森林部門技術士の活用に取り組むのでご理解をよろしくお願いします
2 技術士資格の更新制度の検討について
 科学技術・学術審議会分科会において、産業界での技術士活用が促進されるよう、技術の変遷や技術士資格のニーズに合った第二次試験の技術部門・選択科目の適正化の検討がなされてきました。これに基づき科学技術・学術審議会分科会制度検討特別委員会第二次試験適正化検討作業部会において各種検討を行い、選択科目の構成を96科目から69科目構成とすること、森林部門については「選択科目『林業』と『林産』」を統合する等を決定し、科学技術・学術審議会分科会は「今後の技術士制度の在り方」としてその内容を公表したところです(平成28年12月22日)。
 本会としても、各方面からの情報収集とともに木材学会等関係学会等と連携し、森林部門の選択科目の適正化に対する取り組みを行ってきました
が、結果として、森林部門の選択科目「林業」と「林産」が統合され「林業・林産」となったところです。なお、この実施が平成32年度からと予定されていることから、科目の統合によって受験者に過重の負担を強いることのないように出題方法等について考慮されるよう実施に向けて要請をしていくこととしたいと考えています。
さらに文科省では技術士制度について幅広く見直しを進めているところですが、その検討の一項目として技術士資格の更新制度が俎上に上っているところです。この更新制度はCPDを前提として検討が進められると考えられますが、これらについても的確な情報の収集に努め、又、必要に応じ意見を具申する等本会としても取り組みを強化したいと考えているところです。(平成29年4月26日更新 根橋記)