平成22929

 

林野庁長官

皆川 芳嗣 様

 

       森林部門技術士会会長

            根橋 達三

 

技術士(森林部門)の活用等について

(要望)

 

 貴職におかれましては、日頃より「森林部門技術士会」の活動につきまして、ご高配、ご指導を賜り厚く御礼申し上げます。

ご承知のように技術士は、科学技術分野における専門的知識及び応用能力を有する技術者(技術士法第2条)に与えられる国家資格であり、わが国の科学技術人材育成のうえで重要な制度となっています。

森林部門の技術士は、「林業」、「森林土木」、「林産」及び「森林環境」の4つの専門分野に属し、森林・林業全般にわたる行政ニーズに応えるとともに、資質や技術の一層の向上を図るため、継続教育(CPD;Continuing Professional Development)にも努めております。

取り分け、森林・林業・木材産業をめぐる喫緊の課題である「森林・林業再生プラン」の実現における森林経営計画策定、路網・作業システムの整備、治山事業による安全安心の確保、国産材の高度加工等による競争力の向上、地球温暖化対策等について、森林部門の技術士は企画、実行、評価、研究開発のあらゆるフェーズにおいて大いに貢献するとともに、林野公共事業、調査事業等における管理技術者として、責務を適切に果たしていくことができるものと確信しています。

つきましては、貴職におかれまして、下記事項をご勘案いただき、技術士(森林部門)の幅広い活用の実現に特段のお力添えを賜りますようお願い申し上げます。

 

1        特にご配慮頂きたい点

1)森林4分野の積極的活用

森林部門の技術士には、「林業」、「森林土木」、「林産」、「森林環境」の4つの専門分野があり、このうち「森林土木」については、治山・路網整備等の公共事業において必要な資格として発注機関の認知度は高く、日頃のご高配に感謝を申し上げます。

一方、「林業」、「林産」及び「森林環境」については、未だ十分に認知されておらず、今後、広範な活用の余地があるものと考えているところです。特に、森林の多面的機能の高度な発揮のためには、森林・林業・木材産業に関わる総合的かつ専門的な技術が不可欠であり、これら事業の円滑な推進に資するためにも、十分な経験・知識を有する専門技術者としての「林業」、「林産」及び「森林環境」の3分野の技術士の活用について、特段のご配慮をお願いします

 

2)契約方式の変化に対応しての技術士の一層の活用

 近年、各種事業の契約では、より多くの事業者の参入、透明性の確保等の観点から、総合評価、企画公募、一般競争入札といった方式の採用が急激に進められています。

しかしながら、配置予定技術者などの要件が整備されていない場合には、技術力が伴わず、発注機関のニーズに的確に応えられないことも想定されます。

このため、入札参加資格や受注者決定のプロセスにおいて、それぞれの事業特性に応じ、技術者の能力が十分に評価されるようきめの細かい公正な基準を設けるとともに、その評価に当たって技術士の専門的な能力を高く評価し、活用頂きますようお願いします

 

3)(社)日本技術士会における継続教育(CPD)の積極的評価

 総合評価等による契約方式が拡大しつつある中で、継続研修(CPD)が管理技術者等の評価項目として位置づけられてきています。その評価に当たって、

(社)日本技術士会のCPD制度は専門技術分野に係る登録確認が可能であり、(社)日本技術士会発行のCPD証明書に係るCPD実績について、最高の専門技術点評価とされるようお願いします。

 

2 具体的な活用事例

(1) 林内路網計画の策定、低コスト森林施業、木材産業の構造改革、森林バイオマスの利活用等新たなビジネス創出の事業、海外技術協力等における、企画・立案・調整・評価・技術診断・経営診断等への技術士(森林部門)の優先的活用

 

(2) 総合評価方式、企画公募、一般競争入札等における配置予定技術者に対する要件として、技術士(森林部門)の義務化ないしは優先的活用(工事計画調査、森林生態調査、事業評価等)

 

(3) 公共工事等における技術士(森林部門)の関与義務の強化、特に、公共工事品確法関連の発注者支援業務への優先的活用

 

(4) 公的機関及び指定管理者等における森林・林業・木材産業関係専門技術者としての技術士(森林部門)の積極的活用とともに、各種審議会や委員会委員への技術士(森林部門)の積極的登用

 

(5) 技術系公務員の能力向上のための資格取得促進における奨励対象とするとともに、取得者の積極的登用